モルフォ
以前、ハブセンターステアリングのバイクについてよく分からん、どうして曲がるのか分からんなんて書いたこともあったのですが、実は自分の心の中ではこの種のバイクが好きでビモータテージなどのカタログもこっそり集めてました。
モルフォに関しては正規カタログなんてあるはずないと最初から決めてかかっていたので、ヤマハ総合カタログの中の紹介ページで我慢してお茶を濁すって言うんですか、せっかくおとなしくしていたのに本物カタログと出会っちゃったらもう仕方がありません。
あっと気づいたときには山口県の悪魔と契約してしまいました。
モルフォの話はこれでおしまい。
遥か遠く綿畑が広がる郊外、アメリカ南部ミシシッピの伝説の地を彷徨っていると道路が十字に交差するある場所がありました。
実はここを探すため、近隣の街からレンタバイクのハンターカブを借りて来たのです。
十字路脇に立ち、日本から持ち込んだアンプ付きの象さんギターをペロロン、ペロロンと奏でていると30分ほどでしょうか、遠くからクルマが土ぼこりをあげて近づいてくるのが見えました。ビッとしたスーツを着込んで、ステーションワゴンに乗ったジゴロ風の黒人が来るはず、と思い込んでいたのにやって来たのはサイケデリックにペイントされたミニバンと怪しい東洋人でした。
交渉。やつは言った。「サイン?そんなのいらないっすよ。シャチハタでじゅうぶん。ぽいぽいっ」などと呟いたとおもうと、コクヨの領収書を持って悪魔は走り去っていってしまいました。
それからです。欲しいカタログはばんばん手に入るし、海外からはどさっと3kg単位で小包は届くはで、カタログコレクションが「倍々ゲーム」で増えていきました。
もちろん全部うそっぱちです。悪魔と取引して成功するってのはアメリカ南部の伝説です。
ブルース歌手のロバートジョンソンはこれを行い、才能と成功を手に入れた。
サンハウスというブルース歌手は「へたくそだった奴がある日を境にとんでもなくギターが上手くなった」と証言しています。
1970年代にレイナードスキナードという無名だった南部のロックバンドが不自然にもヒット曲を連発し一躍ビッグネームの仲間入りしました。
日本公演を終えて同年、ツアー中の飛行機が墜落して主要メンバーが還らぬ人となった。
当時私ゃ絶対こいつらは悪魔と契約したに違いないと推測しました。
サンプラだったか、日本公演を観にいったときは僕の座席はミキサーの真ん前でした。スタッフと話していたバックコーラスの女の子の胸の谷間に釘付けになった友人のスギムラはその娘が自分の視線に気づいてあわてて胸元を隠したと言った。バンドはトリプルギターがウリだった。ある曲のサビ部分、ボーカルのロニーはゲイリーというギタリストがふらふらで調子が悪いのに気づき、新人ギタリストの男の子に「お前が弾け」と合図したのを僕は見た。そいつはすげえ速弾きでアドリブをこなし観客をうならせた。
来日から数カ月後、ロニーと、新人ギタリストのスティーブ、その姉の胸揺れのバックコーラスの女の子がその事故で死んだ。
何の話でしたか?そうモルフォだった。
これ。