むかし懐かしい、いや岡山ではいまだに1台の黒い初期型が弾丸のように現役で走っている、らしいVT250。
あんなに売れたのに今じゃめったに見ることもない希少種になってしまった。
小さかったけど速かったなあ。
ただ僕は当時の最新パーツ、16インチ、コムスター、ビキニカウル、モノサス、インポードディスク、などをぜーんぶくっつけて小さくまとめた何でもあり感のデザインがどうも苦手だった。
しかし当時、女の子達には人気でよく売れてたなあ。
昔のホンダはまさに本気で4ストで2ストに勝とうとしていた。
1980年、それも真っ向勝負で。
楕円モノコックNRでヤマハ2スト、スズキ2ストに勝負を挑んでいた。オトコだなあ。あん時のホンダは。と思っていた。
HRC(RSCか?)がまさか同時期に裏で2スト3気筒レーサーNS500と不倫していたなんて夢にも思わなかった。
「あのーすいません、VTって、速いんですか?」なんて質問してくる若造に対して、販売店のおっさんの説明が妙に説得力があった。
「お前なあ、NR500って知ってんだろ?あれが4気筒でだいたい320km/hくらい出るんだ。VTはその半分だから160km/hは軽く出る」
RZ対抗の衝撃的なVT250の発表会は国内のホンダの有力ディーラーを集めてあるホテルで行われた。
(後にバイクの発表会はグアムやハワイなど外国で行われるようにもなる。秘密保持とディーラーサービスの意味もこめてだろう)
そのVTの発表の会場には知人の編集者が紛れ込んでいた。彼はキャノンのオートボーイでこっそり連写。しかしシャッターにフィルム巻き上げが追いつかず、中途半端な写りのタンク周辺の写真しかとれなかった。
これがスクープ写真として掲載された。