Benelli。
レースの名門で1911年創業という「老舗」。
知らない時代のラインナップには小型のスーパースポーツに格好いいのがいっぱいあった。あの「Motobi」もベネリブランドで売られていた。
現在はこのブランドは中華企業系列に買収されてしまった。
しかし衝撃的な3気筒900トルネードは決して色あせない。
リヤに2つの風車をつけた、釣り目の900トルネード3気筒は雑誌でしか見たことがなかった。
夏のある日、突然のにわか雨で高速下にバイクを止めた時避難場所でタイミングよく一緒になった。
独特のカタチやメカ、あの顔よりカウルの銀と緑の色バランスのほうが意外にも印象深かったことをよく覚えている。
モトグッチと同系列だった頃の254や6気筒セイ750/900にはどうも赤いバイクという印象がある。
僕も知らなかったのだが1973年モデルのセイ750には赤や茶だけではなく、コーポレートカラーの濃いグリーンのモデルも存在したそうだ。
セイの発表はデトマソグループに参加する時期とちょうど重なる。
この赤い750セイはプロトタイプ。
量産車とどこが違うかなんて事は分からない。この車両は今年5月ヴェローナで開かれる骨董と旧車オークションに出品される。
いったいいくらぐらいで落札されるんだろう。
(下の写真)ベネリのコーポレートカラーのグリーンはかなり濃い色なので、後の対照的なカワサキの黄緑の柔らかさをあらためて実感する。
グリーンも使われかたによって種類がある。
レプリカレーサーはかなり暗いダークグリーンだった。
5~6年前、ミラノの団地に民泊したときがあって、ベランダから他の棟をなにげに眺めていた。
順序よく並んでいる窓の様子は日本のそれとまったく変わらないが、いきなりある事に気がついた。なんとどの窓もカーテンの色が緑なのだ。
様々な種類のバリエーションはあるがとにかくグリーン。驚く事に別の棟を見るとこれが全て黄色。
「棟によってカーテンの色が統一」そんな事は可能なのだろうか。
実際にこの目で見たのだから事実は事実。
もしもう一度チャンスがあったら、写真を撮って誰かに詳しい事を聞いてみよう。
僕にとってベネリには4つの顔があって、つまり小排気量のレーサー、スポーツ車、レジャーバイク全盛の頃のベネリ。そしてデトマソ傘下のマルチスポーツのベネリ。鉄砲メーカーのベネリ。そしてトルネード3気筒900やTNTによる新生ベネリ。
4つのベネリは脳内でなかなかこれが一致しない。デトマソ時代や散弾銃のベネリは赤いロゴだし、グリーンにしてもコーポレートカラーや使われかたによってそれぞれが違う緑だった。
よく考えてみたら色やカタチの違いより「ベネリ」ってこの言葉の響きが好きなのかもしれない。
さてベネリのトルネード(イタリアでは「トルナド」になる)といえば3気筒以外にも70年代のXS-1やダブワンみたいなツイン650があって、いまこいつがとくに興味深い。
カタログはまだ持っていない。