こいつを初めて見たときには驚いた。
フレームが弧を描いていて、コンパスと雲形定規で図面を引いたような部品構成とシルエット。品のいい彩色。
デザインはフランス人フィリップスタルク氏だそうです。彼の作品で最もポピュラーなものは浅草アサヒビールスーパードライホール、あの×××型で有名なオブジェです。僕はスタルク氏をAlessi社のレモン絞り器で知った。
彼は建築家でありながらもインダストリアルデザイナー。Alessi社のかかえるデザイナーで唯一「顔出し」の独特キャラクターで売るスタルク氏。かなり「目立ちたがり屋さん」と見た。このカタログでも顔写真がいっぱい使われている。同社のデザイナー、アルドロッシもマイケルグレイブスも決して顔は知られていない。
昔、僕はイタリアに夢中だった。
イタリアンバイクと60年代の映画とイタリアンポップス?と工業デザイン。クラシックな建造物。発音記号不要でカタカナで表現できる言葉、固有名詞の心地よい発音の響き。無理してイタリアに行った時は記念にAlessi社の製品を買っていた。
そのAlessi社の社長の言葉で印象的なものがあった。
「マーケティング?そんなもの不要だ。我が社には100人を超えるデザイナーがいる。彼らの存在が我が社のマーケティングなのだ。市場調査から何も得られない。一般大衆は自分自身一体何を求めているか分かっていないのだ。我が社は先進的なこの100人によって一歩先の市場ニーズに応えている」
どひゃー!!その通りだす。頭で思ってはいたのですが、このように言葉で表現はできなかった。
しかしその後頻繁にプラ製品を作るようになったアレッシィ社は徐々に魅力を失っていった。青山にあった直売店も2018年で最後となった。
ところでこの6.5の写真集のようなカタログ。最終ページには「着せ替え」切り抜きセットが。うーむ。
最初このデザインを見た時、丸い尻のアウディクーペや日産のフェアレディ、ダイハツのコペンあたりのデザイナーの作品なのか、と思った。
そう思いませんか?
これがこの6.5のプロトタイプ